48. 作戦会議
まえがき
坂元八造と金田俊哉は深田理事と昼食を取りながら作戦を練ります。
ストーリー

先の尖ったペンシル様の高層37階建てのANAクラウンプラザホテル神戸の4階にあるカジュアルダイニング「ザ・テラス」で、坂元八造と金田俊哉は合流したS友不動産相談役でみやこ財団理事の深田金司とテーブルを囲み、ランチブッフェで明石ダコのカルパッチョや神戸ポークのローストなどを堪能しています。
壁の一面が全てガラス張りで陽も差し込み開放感があり、明るい木目調のフロアタイルに白い丸テーブルとベージュのチェアでクリーン&モダンなインテリアの店内では料理が全ておいしく感じられます。
「深田理事、今日はお会いしたとき見違えましたよ。」と、金田俊哉は思ったまま口にします。
「お前、失礼だろ。でも、いや、お似合いです。」と、坂元八造も深田理事を見直して言いました。
深田理事は2人が見慣れたよれよれの灰色のジャケットではなく、濃いグレーのスリーピースに胸ポケットの白シルクチーフ、ごま塩シルバーの髪にも櫛を入れ、黒の中折れハットを被って現れたのでした。
「べんちゃらはええ。それよか、飯食いながらでええから、これに全て目を通して数字を覚えといてんか。」と、深田理事は製本した資料を2人にそれぞれ渡しました。表紙に「宝塚市テーマパーク事業計画」と書かれています。
「お前らは案外芝居がうまいが、今日会う相手は多国籍犯罪企業の末端やからな。坂元はザ・オーバーヘッドホテルズ日本法人の社長、金田は日本ホラリス投資法人の執行役員に今から成り切っておいてくれ。」と、深田理事は2人の目をギロリと見て言いました。
「宝塚すみれゴルフ倶楽部の買収は伊勢さんが決めてくれた。競売開始決定されていたが、取り下げさせてな。管財人の弁護士がいそ弁(居候弁護士)やった頃の弁護士事務所の所長に手を回して多少無理を通したようやが、破産財団にしたら落札されるよりも良い買収金額やったと思う。」
「それと、カーボンナノチューブ(CNT)有機薄膜太陽電池のエネルギー変換効率が格段に良くなり、実用化の目途が立ったのも大きい。パークの電力をまかなうメガソーラーシステムも良い餌になるやろ。」
深田理事はこれまでの経緯とこれからの計画を二人に細かく説明しました。
「外資やその多国籍の企業が日本の国土や水源を欲しているのは何となく理解できます。でも、同時に太陽電池、その材料のカーボンナノチューブですか、それを世界中から買っているというのは何が目的なんでしょう。」
坂元八造は公益財団法人みやこ財団の地下2階の特別会議室で傍聴した国土防衛会議で取り上げられた多国籍犯罪企業の問題を思い起こしながら疑問をぶつけました。
「犯罪企業なら、武器や禁止薬物の販売など何でも商売にしているんじゃないですか。」と、資料をパラパラ見ながら金田俊哉が口を挟みます。
「敵が何を目的にしているのかはまだ分からん。本体の多国籍犯罪企業(WSSP)についてはほぼ何も分かっとらんのだ。しかし、日本に出先機関である法人が設立され、色々と投資し暗躍しているのは確かじゃ。」
「それなら、その日本法人に強制捜査でもしたら良いんじゃないですか。」と、見終わった資料をテーブルにポンと置いて金田が聞きます。
「そのためには動かぬ証拠が必要なんじゃ。琵琶湖の件ではうまく逃げられたからの。」
「大丈夫です。私もギラ男(金田)もうまくやりますから。」と、坂元。
三人はこれから行うその多国籍犯罪企業の末端との面談に心引き締めるのでした。
解説
国際課税(相続・贈与)
贈与あるいは相続の時点で対象資産の価額の合計額が1億円以上を所有し、贈与あるいは相続の日前10年以内において国内に5年を超えて住所又は居所を有している贈与者あるいは被相続人(以下「一定の居住者」といいます。)が、国外に居住する親族等や相続人等に贈与・相続する場合の課税について説明しましょう。
対象資産は、株式、投資信託等、匿名組合契約の出資持分などの「有価証券等」や、未決済の信用取引、 未決済の発行日取引の「未決済信用取引等」、「未決済のデリバティブ取引」になります。この対象資産に含み益があるかどうかにかかわらず、全ての対象資産の価額の合計額が1億円以上のものです。
国外転出(贈与)時課税
贈与の時において1億円以上の対象資産を所有等している一定の居住者が、国外に居住する親族等(非居住者)へ対象資産の全部又は一部(以下「贈与対象資産」といいます。)を贈与した場合には、その贈与の時に、贈与者が贈与対象資産を譲渡等したものとみなして、贈与対象資産の含み益に所得税が課税されます。
課税されるのは贈与者になります。贈与者は翌年の確定申告が必要です。
なお、納税猶予の特例制度(5年と4ヶ月、延長時10年と4ヶ月)や各種減額措置等(外国税額控除を除きます。)を利用することができますが、確定申告期限までに納税猶予分の所得税額及び利子税額に相当する担保を提供する必要があります。
国外転出(相続)時課税
相続開始の時において1億円以上の対象資産を所有等している一定の居住者(以下「適用被相続人等」といいます。)から、国外に居住する相続人等(以下「非居住者である相続人等」といいます。)が、相続又は遺贈により、対象資産の全部又は一部(以下「相続対象資産」といいます。)を取得した場合には、その相続開始の時に、適用被相続人等が相続対象資産を譲渡等したものとみなして、相続対象資産の含み益に所得税が課税されます。
課税されるのは適用被相続人等になります。この場合も翌年の確定申告が必要です。
なお、納税猶予の特例制度(5年と4ヶ月、延長時10年と4ヶ月)や各種減額措置等(外国税額控除を除きます。)を利用することができますが、確定申告期限までに納税猶予分の所得税額及び利子税額に相当する担保を提供する必要があり、かつ相続対象資産を取得した非居住者である相続人等の全員が、原則として連署による一の書面で納税管理人の届出をする必要があります。
なお、実際には相続人が被相続人等にかかる所得税の準確定申告をします。
参照:「国外転出時課税制度」国税庁サイト








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