18. 不動産講義
まえがき
宝塚ホテルでは深田金司の不動産講義が始まります。
ストーリー

宝塚ホテルの2階ビュッフェではランチを取りながら不動産の講義が始まろうとしています。
「先ず、これは土地の成約事例じゃ。」と、深田金司は紙束のうちの一枚の紙を取って坂元八造と金田俊哉の前に置きました。
「過去に神戸市北区有馬町で土地がいくらで売れたかの事例じゃよ。」
と、差し出された紙には「物件検索結果一覧(成約)」のタイトルの付いた一覧表が書かれています。そこには全部で4件の土地の成約の詳細が記載されています。
「この一つ目の売地やが、現況更地と書いてあるやろ。隣に成約価格と面積、坪単価、㎡単価や。そして地目が宅地とある。」と指で示して説明します。
確かに、売宅地で更地、成約価格1,400万円、土地面積530.03㎡、坪単価8.7万円、㎡単価2.6万円とあります。
「つまり、上に何も建っていない宅地が、畳2帖の大きさ当り8.7万円で売れたっちゅうことなんや。もちろんこの資料だけからでは土地の形状が分からん。平らな土地だけではなく崖地かも知れんし斜地なども含まれての面積じゃからな。そういう土地を法地と言う。しかしそれでも安いと思わんか。」
深田金司はわかってるかと二人をじろりと見て理解度を確認しました。二人は聞き取りにくい関西弁についていくのがやっとです。
「ほんでや、ちょっと右端を見てみ。成約年月日と書いてあるやろ。」と指でトントンと紙を叩きます。
「ええか、2023年12月24日に成約となっとる。この時点の坪単価が8.7万円なんやで。こうやって、いつ時点でいくらで売れたかを比較していくんや。」
「あの~、坪単価っていうのが私らにはちょっとピンと来ないもので。」と坂元八造が困った顔で言います。
「そやな、素人は1坪を3.3㎡の広さと思っといたらええわ。プロは0.3025で計算するけどな。」
「はあ、3.3平方メートル、ですか。」
「それが畳2帖の広さなんですね。」と、坂元八造はさらに聞きます。
「畳を縦1.82m、横0.91mと考えると、2帖なら縦横ともに1.82mや。1.82×1.82=3.3124やけど、約3.3㎡と考える。」
「なんだ、結構大雑把なんだ。」と、退屈そうにしていた金田俊哉が初めて口を挟みました。
「あと、用途地域が「二住」とあるな。これは「第二種住居地域」のことで、用途地域ごとにどんな建物が建てていいのか建築基準法で決まっておる。用途地域は全部で13種類あるからそれを覚えてもらう。もしここが空欄で、都市計画の欄に「調整」と書かれてたら、「市街化調整区域」のことで原則建物の建築が不可となるから注意が必要や。」と、深田はどんどん説明を進めます。
「細かいことまで全部説明はでけん(出来ない)けど、だいたい分かったか。」と言いつつ、深田はその後残り3件の土地の説明もしっかりしました。
解説
不動産の面積計算
不動産の広さを表示するとき、不動産業界では今でも坪表示が一般的に使われています。駅前の不動産業者の店頭に掲示されている物件概要書にも、㎡表示と坪表示は併記されています。不動産業者がどのように計算するかというと、
1坪 ÷ 0.3025 = 3.3057…㎡ とし、 1㎡ × 0.3025 = 0.3025坪 と計算するのです。
例えば、50坪は 50÷0.3025=165.289…㎡になり、100㎡は 100×0.3025=30.25坪というふうに使います。
この0.3025は、尺貫法をメートル法に換算するときの計算から来ています。なお、建物については、上記の様に畳を中京間で考えて、1坪 × 3.3124 = 3.3124㎡ を使うこともあります。
都市計画区域と建築規制
都道府県は「都市計画区域」を指定し(二以上の都府県の区域にわたる場合は国土交通大臣が指定)、それ以外を「都市計画区域外」としています。なお、「区域外」でも「準都市計画区域」を定めることができるとしています。(都市計画法第5条及び第5条の2)
東京、名古屋、大阪の三大都市はもちろん、都市部はだいだい都市計画区域に指定されています。
そして、都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に、市街化区域と市街化調整区域との区分を定めることができるとしています。(同法第7条)
市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とし、市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域としています。(同法第7条第2項、第3項)
つまり、市街化区域は人の住む区域、市街化調整区域はできるだけ自然を残そうという区域なのです。
なお、市街化調整区域内では開発行為は面積にかかわらず都道府県知事(又は指定都市等では市長)の許可が必要となります。許可不要なのは、農林漁業用建築物や農林漁業者の居住の用に供する建築物のための開発行為や、鉄道施設、公民館等非常に限られています。(同法第29条)
ここで開発行為とは、主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいいます。(同法第4条)
要するに、市街化調整区域内の土地を開発して住宅や工場などを建築することはほぼできないと考えられるので注意が必要と深田金司は教えていたのです。








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