不動産の任意売却

不動産の任意売却とは
不動産の任意売却とは、不動産の所有者が住宅ローンの返済を滞納し、あるいは個人事業者等が事業資金の返済を滞納し、自宅土地建物に設定された抵当権が債権者である金融機関に実行されて、裁判所で競売になりそう、あるいはもう競売が開始している状態で、裁判所の手続きを経ないで、任意に売却することをいいます。
ただし、売却しても売却代金よりも住宅ローンの残りの方が金額が大きく残債を完済できませんので、債権者(金融機関)に事前に任意売却をすることの承諾を得ておく必要があります。また、競売にかかっていて任意売却が成立した場合は債権者に裁判所での競売の取り下げをしてもらう必要が生じます。そのためには競売で落札されるであろう金額よりもかなり高額で任意売却が成立しないといけません。
債権者(金融機関)の立場からすれば、裁判所を通しての競売(けいばい)よりも早く高額で売却できる可能性があり、残債回収を少しでも多くできて不良債権の処理も早く終えることができるので承諾を与えることもあるのです。
ただし、売却代金はほとんど全て債務の返済に充当されますので売主の手元には引越費用以外は残らないのが普通です。返済し切れない残債は無担保の債務として残りますので、債権者(金融機関)とどのように返済していくか話し合いが必要です。
弁護士に依頼して任意売却をしている場合、他の債務も滞納しているでしょうから、自己破産の一連の流れで任意売却する場合もあります。その場合は任意売却後の残債の返済は裁判所の自己破産手続きが終われば免責されます。
私は不動産流通業に従事していた現役時代、仲介でも事業主として買取でも任意物件を何件も扱ってきました。私見ではありますが、住宅は人生の時期に応じて独身期、新婚期、子育て期、子の巣立つ時期、老年期により、狭いウツワから広いウツワへそして再び狭いウツワへと住み替えて行けば良いと思っています。利便性の良い2LDKのマンションから環境の良い4LDKの戸建へ、再び利便性と病院の近い1〜2LDKのマンションへと。
従って、苦しければ家を手放す、また余裕が出来たら手に入れることもできる機会も来ると考え、現在の債務整理に専念することが大事と思います。
任意売却物件の特徴
私達が通常、不動産分譲業者や不動産仲介会社のサイト、あるいは不動産物件情報サイトで売買物件を検索した場合に表示される物件の多くは、売主が売却代金で債務を返還し、物件に設定されている担保物権等(抵当権、根抵当権など)を抹消できるものです。
新築マンション、新築一戸建分譲、あるいは中古物件にリフォームを施して分譲することを業とする者が売主の場合、事業資金の借入れの共同担保として抵当権等が物件に設定されているのが一般的です。この場合、債権者の金融機関とは分譲の都度、共同担保をはずすことを約束していますので、買主は売買契約をして残代金を支払ったけれど物件が手に入らないということは原則としてありませんので安心です。
しかし任意売却物件には上記のような保証がないことが特徴です。買主は売買契約を結んでも残代金を支払う決済日まで何があるか分からず安心できません。決済ができない状況になっても債務者(売主)に支払い能力がないので違約金ももらえず白紙解除となります。手付金が返却されるのみです。
任意売却のメリット
・売主は債務を大幅に減らすことができ、自己破産の場合に他に大きな財産がなければ管財事件になりません。
・売主は売却にかかる費用は負担しなくて良いです。売却代金から仲介手数料も支払われます。
・売主には引越費用は原則として認められます。(但し、見積書添付や引越業者に直接振込み等の条件が付く場合があります。)
・買主は市場相場より安価で築年の新しい物件でも入手できます。
・買主は物件の内覧をした上で購入意志を決定できます。(競売は内覧できません。)
・債権者は競売より早期に売却し、不良債権が確定でき、一部でも回収できます。
任意売却のデメリット
・任意売却をすることに債権者(金融機関)の承諾が必要なこと。
・競売にかかっている場合、債権者に競売の取り下げをしてもらわないといけないこと。そのためには市場価格に近い売却価格で成立しなければなりません。
・競売開始決定後の場合、入札までの6〜8ヶ月間のうちに、遅くとも開札の数日前までに任意売却が完了するという期限がつくこと。
・売主の債務が 0になったわけではないので、残債の返済計画を債権者と交渉するか自己破産しなければなりません。
・売主には手元に代金の一部も原則として渡されません。売却代金から当面の生活費等は受け取れないのです。なお、契約時の手付金(売買代金の10%前後)は仲介業者が取引の安全のため決済日まで手付預りをしますので、売主に渡されません。
・買主は市場相場より安価で購入できますが、一般流通物件とは異なることを理解しなければなりません。売主は売りたくて売るわけではないことの理解が必要です。
・買主は、内覧の際に売主が在宅でも愛想よく応対してもらえないことの理解が必要です。
・買主は、内覧の際に建物の内部が通常の生活で付く以上に傷付いていたり、残置物が大量にあることの理解が必要です。
・買主は、残置物の撤去費用を売買代金とは別に負担しなければなりません。
・買主は、売主に賠償能力が(ほぼ)ないので、物件に隠れた瑕疵があっても、引継ぎ事項の記載内容に間違い等があっても責任をとってはくれません。それ故安いことを理解しなければなりません。
・買主は決済日に銀行で債権者が何人も同席する場合もあることを理解しなければなりません。
・買主は売主側の事情で決済できない状況になっても違約金をもらえません。
任意売却物件情報の入手
任意売却専門業者
ネットには任意売却専門業者のサイトがあります。基本的には業者所在地の周辺地域の物件情報が入手できますが、全国どこでもという業者もありますので、希望を伝えて探してもらうことも出来ます。宅建業者の免許を取得しているかの確認はしてください。
一般の不動産仲介会社
任意売却物件はレインズに登録されている物件も多く、一般の不動産仲介会社からも情報を入手できます。任意売却専門業者は仕入れに注力し、販売は仲介会社に任せる業者も多いのです。この場合、仲介会社の営業員が任意売却の経験がないと、満足な説明が得られない場合もあります。その場合には、店長等の責任者に内容を聞かれることが良いでしょう。
一般の不動産仲介会社では、すでに任意売却物件として売りに出ているものの買客付けはしますが、自ら積極的に任意売却の売主と接触をしようとはしません。これは住み分けというか、任意売却専門の業者が多いです。
特に全国に店舗展開する大手仲介会社では、売主から相談を受けて媒介契約を締結する場合以外では、接触しない傾向が高いです。なぜなら、大手仲介会社には一般の売主からの売却相談も多く、仲介手数料が変わらないのにわざわざ手間のかかる任意売却をしようとしないからです。






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