国民経済計算(SNA)

国民経済計算(SNA)とは
国民経済計算(Systems of National Accounts、略称SNA)は、国ごとの経済の全体像を把握して、一定期間の国の経済活動をフロー(損益計算書に該当する項目)面とストック(貸借対照表に該当する項目)面で体系的に記録したものをいいます。
国際連合による基準に準拠しており、他国の経済活動と比較が可能となっています。
フローはその年の生産・分配・支出であり、その主要な指標としては国内総生産(GDP)があります。
日本では、平成7年基準以降は国連基準の1993SNAを利用しており、平成28年度に基準改定し「平成23年産業連関表」(平成27年6月確報公表)等の基礎統計を取り込むとともに、あわせて平成21年に国連で採択された国民経済計算の国際基準である「2008SNA」に現在は対応しています。
さらに2025年3月には次の国民経済計算の国際基準「2025SNA」が国連で採択される予定です。現基準から検討されている主なテーマは、デジタル化、グローバル化、ウエルビーイングの3つです。
国民経済計算の公表
日本における国民経済計算には経済実態を正確に表さないといけないという「正確性」の面とできるだけ早く公表しないといけないという「速報性」の面が要求されますので、何度かに分けて公表する方法を採っています。
四半期別GDP速報
国内総生産(GDP)(支出側)や民間最終消費支出などの支出系列等については、公表時期を出来るだけ早めるために、早期に利用できる基礎統計を用いて推計しています。
四半期ごとの速報QE(Quarterly Estimates)となります。
1次速報(1次QE)
支出系列及び雇用者報酬について、四半期終了から約1ヶ月と2週間程度遅れで公表します。
2次速報(2次QE)
1次速報発表の約1ヶ月後(当該四半期終了から約2か月と10日後)に、支出系列及び雇用者報酬について、新たに利用可能となった基礎資料による改定を行い公表します。
年次推計
確報
毎年12月頃公表します。より確度の高い基礎資料に基づき、前年度及びその四半期のQEを改定するとともに、より詳細な計数を公表します。
確々報
確報公表の1年後に、新たなデータの入手により確報を改定します。
基準改定
基礎統計のうち「産業連関表」「国勢調査」等の基幹的統計の公表に合わせて、5年に1度、大幅な改定(基準改定)を行います。
なお、上記以外でも、基礎統計の年間補正、推計方法の見直し等に対応し、随時、過去に遡及して計数を改定しています。このため、ある年の「国民経済計算確報」として公表した計数は、翌年以降の「国民経済計算確報」の当該計数と一致するとは限りません。
最新の確報(2022年度(令和4年度)年次推計)
令和5年12月25日公表の最新の国民経済計算の年次推計のポイントです。
フロー面のポイント
支出
・令和4年度の名目国内総生産(GDP)(支出側)は566.5兆円でした。(前年度比2.3%増、2年連続のプラス)
・実質国内総生産(GDP)(支出側)については、前年度比1.5%増(2年連続のプラス)となりました。

所得
1.国内総所得(GDI)と国民総所得(GNI)
・実質GDI(国内総所得・交易含む)は535.1兆円(前年度比0.3%減)と減少に転じました。
・実質GNI(国民総所得・実質GDI+海外からの所得の純受取り)は567.1兆円(前年度比0.4%増)と2年連続の増加となりました。

2.国民所得
令和4年度の国民所得(要素費用表示)は409.0兆円となりました。(前年度比3.3%増)
これは平成17年度以降の最高数値です。
【内訳】
- 雇用者報酬が296.4兆円(前年度比2.4%増と2年連続のプラス)
- 財産所得が30.3兆円(前年度比12.1%増と3年連続のプラス)
- 企業所得が82.2兆円(前年度比3.9%増と2年連続のプラス)
- 労働分配率(国民所得に占める雇用者報酬の比率)は72.5%(2年連続で低下)
3.家計貯蓄
令和4年度の家計貯蓄は5.5兆円に減りました。(令和2年度からは32.1兆円減)
- 家計可処分所得が増加し314.2兆円となりました。(前年度差17.7兆円増)
- 家計貯蓄は5.5兆円に減りました。(前年度差14.1兆円減)
- 家計貯蓄率も2年連続で低下し、1.7%となりました。(前年度差4.6%減)

生産
令和4暦年の経済活動別(産業別)GDPの構成比(名目)は、
- 第1次産業(農林水産業)のシェアは1.0%でした。(前年比増減なし)
- 第2次産業(鉱業、製造業、建設業)のシェアは24.7%と減少しました。(前年比2.0%減)
- 第3次産業(その他)のシェアは74.3%と上昇しました。(前年比2.0%増)
一人当たり名目GDP、名目GNI、国民所得、実質GDP
- 一人当たり名目GDPは4,535千円(前年度比2.8%増)
- 一人当たり名目GNIは4,807千円(前年度比3.6%増)
- 一人当たり国民所得は3,274千円(前年度比3.8%増)
- 一人当たり実質GDPは4,417千円(前年度比2.0%増)
GDPの国際比較
日本の名目GDPは、令和4(2022)暦年には4兆2,601億ドルとなりました。世界のGDPに占める比率はアメリカ、中国に次ぐ4.2%でした。
日本の一人当たりの名目GDPは、令和4(2022)暦年には3万4,064ドル(4,535千円)となりました。OECD加盟国の中で第21位でした。
ストック面のポイント
令和4年末の期末貸借対照表

正味資産(国富)=非金融資産+金融資産-負債
=3,577.3兆円+9,072.1兆円-8,650.3兆円
=3,999.1兆円(前年末差127.0兆円)
また、正味資産はこのように分析もできます。
正味資産(国富)=非生産資産+固定資産+対外純資産+在庫
=2,173.7兆円+1,317.0兆円(うち土地1,309.4兆円)+421.8兆円+86.6兆円
- 固定資産は平成6年末以降、過去最高値になっています。
- 特に土地は平成19年末以来の1,300兆円超えになりました。
- 対外純資産も5年連続増加しています。
家計(個人企業を含む)の資産・負債残高


令和4年末の家計(個人企業を含む)の資産残高は3,235.5兆円であり、負債残高は381.2兆円でした。
この残高はどちらも平成6年末以降の最高値になっています。
その結果、正味資産(家計)は2,854.3兆円と4年連続増加し、平成6年末以降の最高値となっています。
その他
- 令和4年末の固定資産残高(名目)は、2,173.7兆円と2年連続増加し、過去最高値でした。
- 令和4年末の固定資産残高(実質)は、1,907.9兆円と10年ぶりの減少となりました。
- 令和4年末の土地資産期末残高は1,309.4兆円と9年連続の増加となりました。
- 令和4年末の株式資産期末残高は870.3兆円と4年ぶりの減少となりました。
- 令和4年末の対外資産残高は、1,323.1兆円と4年連続の増加となり、過去最高となりました。
- 令和4年末の対外負債残高は、901.3兆円と4年連続の増加となり、過去最高となりました。
- 令和4年末の対外純資産は、421.8兆円と5年連続の増加となり、過去最高となりました。
参照:「国民経済計算年次推計 2022年度(令和4年度)年次推計」内閣府サイト



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