3. バカ凡の母
まえがき
「かわいい子には旅をさせよ」の教えの通り、長男の俊夫を送り出している皇室献上の陶器有馬焼窯元三代目清和こと川西達郎と花子夫婦でしたが
ストーリー

「お母ちゃん、会社で失敗しちゃって700万円をすぐに弁償しないと首になっちゃう。すぐに上司の口座にお金を振り込んで」
と、東京に行かせた俊夫からいきなり電話が掛かってきました。幼いころからバカでしたがそれゆえ可愛い息子です。主人が中学の同級生に頭を下げてようやく押し込んだ会社でとんでもないことになっているようです。あいにく主人は有馬温泉組合の寄合に行って不在です。大急ぎで銀行に行き定期預金の解約をして振り込んでやることにしました。
銀行の窓口に着いてハタと気づく。
「しまった~!定期は去年長女の結婚式に解約して使ったんやった~!あれも苦労してやっと嫁がせたんよ。ほんま旦那さんは慈善事業やわ~!あんな掃除も洗濯も料理もできひんのに気が強うて、食うて寝るのだけが得意で鼻が上向いた娘をよくも貰ってくれました。」と、感慨にふけっている場合じゃありません。
「どうしよう、後あんのは山だけやんか~!」
代々地主でしたが、相続税をとりあえず物納し良い土地はほとんど国に預けていつか現金で納めて返してもらいたいけど当てがない状況です。工房は従業員を雇えるほど大きくして法人にしています。会社の運転資金を勝手に使うわけにも行かないことは経理担当の奥さんは重々分かっています。
「すぐ売れるような土地ちゃうし、どうしょう。」
銀行の入口前でウロウロしながら主人に電話してもつながらず、結局用意できんと悩んでいた奥さんのスマホに本当のバカ凡から「今月の生活費足りないからお金頼みます」のLINEが届き、会話で先の電話はウソと分かりました。
すんでのところで騙されずに済みホッと安堵の胸をなでおろす一方、「俊夫が言いそうやったな。声も似てた。」と変に感心もしてしまった体の丸いお人好しの奥さんでした。
解説
高齢社会
日本は平成17年より世界一の高齢社会であり、またその高齢化率のスピードも抜きんでています。政府は高齢社会対策基本法により「高齢社会対策の基本的枠組み」を作り、一方少子化社会対策基本法による「少子化対策大綱」で少子化対策にも取り組んでいますが、団塊の世代が65歳に達し相続を受ける方が増加する一方、老齢年金のみで生活費に困窮する高齢者世帯も増えてきております。
日本人は農耕民族だったからでしょうか、金融資産を少しづつ積み上げても運用については保守的で投機的運用を好まない方が多いです。定期性預貯金の割合が高く、有価証券でも株式より償還期限まで保有していれば原則額面金額が保証される債券の保有を希望されます。富裕層以上の層の関心は運用ではなく保全と承継になります。
子が自分の思うようにならないと悩む親もいます。一方、私は親の所有物ではないと主張し親の干渉に悩む子もいるのです。心配のあまり出してしまいがちな口を慎み、「老いては子に従え」と唱えて悠々と残りの人生を楽しんで行こうではありませんか。








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