30. 都市再開発コンサルタント

2024年8月25日

まえがき

 深田金司は都市再開発コンサルタント会社でテーマパーク事業構想を述べます。

ストーリー

シックスフラッグス(UnsplashZachariah Aussiが撮影した写真)

 六甲アイランド内の大型複合ビル「神戸ファッションマート」には大小さまざまなオフィスが入居しています。深田金司と坂元八造、金田俊哉の三人が向かう都市再開発コンサルタント事務所「神戸再開発ファーム合同会社」は、再開発プランナー、一級建築士、土地家屋調査士、行政書士等が合同で設立しています。日本版LLCと言われるものです。

 通された会議室で、 まだ40代前半に見える代表者 江川繁と名刺交換をします。

 「世界的チェーンのザ・オーバーヘッドホテルズはご存知かと思いますが、この度、日本初進出を予定しております。坂元社長は、設立する日本法人の暫定的な代表をされる方です。世界中の新規出店に携わっておられる非常にお忙しい方なので、事業化以降は正式な代表者を決めることになっております。」と、深田金司がもっともらしく坂元八造を紹介します。

 「また、今回の客室700室のタワーホテルとテーマパークの資金のため、日本ホラリス投資法人を設立して、事業資金を出資することになるのですが、執行役員金田氏にも立会いいただきます。私募ファンドを応募する計画にしております。」と、金田俊哉も紹介しました。

 「いや、素晴らしい計画を当社にご相談いただくとは、大変光栄に思います。それでは、計画の詳細をお知らせいただけますでしょうか。」と、江川繁は最大限の笑顔で促します。

 「計画は、まず宝塚市内のゴルフ場を買収します。その敷地約150haのうち90haはテーマパークとタワーホテルを建設します。残りの60haは駐車場とメガソーラーに利用し、パーク施設の電力の全てを賄う計画にしております。総工費1,800億円の予算です。」と、深田金司が切り出すのですが、横に座って聞いている坂元八造と金田俊哉は全く詳細を知らされていなかったので、目が点になっています。

 「まず市街化調整区域内の開発になると思いますが、ゴルフ場もテーマパークも第二種特定工作物ですから、市街化を促進するものではないので、特に問題はないかと思います。また、メガソーラーですが、建築基準法の規制から除外される工作物と判断される可能性が高いでしょうから、こちらも建設について問題はないでしょう。もちろん、官公庁との協議をしてみないと分からないことではありますが。問題は、ホテルですね。観光資源の有効利用上必要な建築物には該当するでしょうが、タワー型が許可されるか宿泊人数として何人まで認められるかは市との事前協議で押さえていく必要があります。」と、江川繁はそこまで言って、三人の顔を見ます。

 「それで、具体的な建設予定地はどのゴルフ場なのでしょうか。」と、江川繁。

 「まだ基本合意もしていない段階ですので、事業の秘密は守っていただけるのでしょうね。」と、緊張して引きつった顔をしながら、坂元八造は事前に打ち合わせしていた質問をしました。

 「もちろん、守秘義務は遵守致しますので、ご安心下さい。」と、江川繁がいつも聞かれることなので、と答えます。

 「事業予定地は、この「宝塚すみれゴルフ倶楽部」です。」と、坂元八造は広げた地図の場所を指で示しました。

解説

市街化調整区域内での建築

 市街化調整区域は市街化を抑制する区域ですので、基本的に住宅等の建物の建築は規制されます。

 しかし、ゴルフ場や 1ha以上の運動・レジャー施設である工作物や墓園は第2種特定工作物として都市計画法第34条の立地基準が適用されず開発許可申請ができることとなっています。テーマパークも第2種特定工作物ですので、ゴルフ場跡地を開発して建設することが可能というわけです。

 テーマパークのオフィシャルホテルの建築については、建設地管轄の市役所で開発許可申請の事前相談時に併せて相談する必要があり、条件が付けられる場合があります。

再生可能エネルギーの買取制度

 再生可能エネルギーとは、太陽光発電、風力発電、水力発電、バイオマス発電、地熱発電のことをいい、固定価格買取制度によって、発電した電気を電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束しています。

 根拠となるのは、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(平成23年8月26日成立)です。

 買取価格は、太陽光で50kw以上(屋根設置)の場合、2024年度までは調達価格1kwh当り12円、2025年度は11.5円、調達期間20年間となっています。この制度で売電するには、事前に発電施設の認定を受けなければなりません。

 なお、10kw未満の住宅用太陽光は余剰電力の買取であり、調達価格も異なり、調達期間も10年間となります。また、各電力会社の受給制御に係る区域においては出力制御対応機器の設置が義務付けられています。

 全国のゴルフ場がゴルフ人口の減少とともに廃止されるところが増えており、その転用としてコース上にメガソーラー設備の設置をするゴルフ場も増加しています。しかしゴルフ場の開発区域は100ha以上あり、100haで発電量は年間4,000~5,000万kwhになりますが、これから事業開始して売電しても年間4億5千万円~6億円にしかなりません。

 これだけのソーラー設備なら建設費が100~150億円になりますから、単純計算上では、約20年間で回収できるかどうかです。実際は維持管理費用もかかりますし、設備投資の金利も考慮しないといけません。

 買取価格は12年前の2012年度は10kw以上で40円+税でしたので、その当時から事業開始しているメガソーラーは十分採算が取れたでしょうが、現在は買取価格の低下は凄まじいので採算は厳しいですね。今後は売電ではなく特定の設備のために使うことを考えていくべきでしょう。

Six Flags Magic Mountain

 アメリカ・カリフォルニア州にある絶叫系コースターが世界一の20機もあるテーマパークです。敷地面積は262エーカー(106ha)もあり全部で50以上のアトラクションがあると言われています。本作のセブン・フラッグスのモデルです。

 2023年11月に駐車場屋根にメガソーラーの建設を開始しました。公式サイトによると、12.37メガワットのソーラーは年間2,080万kwhのエネルギーを供給する予定で、これは2,874世帯の電力消費量と179万台のスマートフォンの充電量に相当します。これによりパークはエネルギー使用量の100%をメガソーラーで相殺できるようになるとのことです。

「Six Flags Magic Mountain」公式サイト