36. 日本の国土と水源
まえがき
榊理事長は日本の国土と水源の現状の改革を提言し、伊勢信一郎を紹介します。
ストーリー

榊理事長は岩戸国土交通大臣に着席を促し、300インチスクリーンで補足説明をします。
「全国の地籍調査は第二次世界大戦終戦後の昭和26年に開始され、この72年間での進捗率は53%に過ぎません。」
「特に都市部(DID・人口集中地域)の令和5年度末時点での進捗率はわずか27%です。これは土地1筆あたりの面積が小さいが地価が高く、かつ権利関係が複雑なことが影響しているわけです。」
「また、林地の進捗率も47%しかなく、相続登記もされずに放置される山林も増えております。公簿面積と実測面積の差により、固定資産税等の正確な課税がなされず、しかも被相続人(死亡者)宛に納税通知書が送付されて、未納税のままという状況の改善が進んでいないのです。」
「このように地籍調査は72年かけて約半分です。令和2年から実施されている「第7次国土調査事業十箇年計画」では10年間で5%の進捗を目指すとされています。その計算だと地籍調査完了まであと100年近くかかることになります。」
「地籍調査の方法は、土地所有者の探索、現地調査(所有者の現地立会)、測量、地籍図案の閲覧と意見の申出受付を経て完了となります。」
「日本を取り巻く情勢は日々厳しくなっております。円安も進む中、外国資本による日本国土と水源の乱獲とも呼べる買い占め状況を国防上見過ごすわけにはいきません。」
「国土交通大臣には抜本的な地籍調査の改革案を選択し、至急に国土調査事業計画を見直して頂きたい。」
「また、登録免許税の大幅な軽減措置も必要であることを政府に強く申し上げます。相続登記において相続人が登録免許税負担を嫌がり放置したままになっておるからです。」
榊理事長は列席の内閣官房長官に向かって強く提言をしました。内閣官房長官は黙って聞いています。
「なお、水資源では、国土交通大臣は利根川、淀川など7つの水系を「水資源開発水系」として指定し、「水資源開発基本計画」に基づいた開発と利用を進めておりますが、この水系の用水供給は国土の約17%に過ぎません。」
「実際は、各自治体での水源保護条例や要綱等で対応しているのでは、外国資本を受け入れるのにも管理ができていないと言われても仕方ない状況です。」
「既に、この多国籍犯罪企業の日本法人については各自治体に国土交通大臣名で「要注意法人」と通達を出しておりますが、実際の買収交渉をコンサルタント会社等に委任し、姿を表に現わしませんので対処が後手に回るケースが増えております。」
「淀川水系の琵琶湖畔の土地の買収工作の情報を入手し、当みやこ財団が調査し、公安と滋賀県警が動いて、差し止めたばかりです。」
全体を見渡したのち、榊理事長は会議室の入口側の末席にいる伊勢信一郎の名を呼びました。
上品な光沢のある、ピンストライプの入った細身で2つボタンのブラックスーツを着こなし、濃いシルバー色で無地のシルクのネクタイと、同色のチーフを胸に挿した伊勢信一郎はスックと立ち上がりました。
180cm超の身長と彫りの深い整った顔立ち、色白で黒い髪をワックスできれいになでつけた姿には男でも惚れ惚れ(ほれぼれ)しますが、それ以上に姿勢の良さとしぐさに上品さが感じられます。伊勢信一郎は列席の面々に深くお辞儀を致しました。
「この者には、当みやこ財団の資産管理と運用の一切を任せております。また、各理事も個別に資産管理を任せており、信頼できる者ですのでよろしくお願いします。」と、榊理事長は政府関係者に紹介しました。
「ファミリーオフィス銀座の代表者の伊勢信一郎でございます。以後よろしくお願い申し上げます。この度、榊理事長の命を拝して、兵庫県神戸市北区の有馬温泉地域の山林買収を計画する事業者の割出しをしております。」
「この事業者の依頼者である多国籍犯罪企業の日本法人は、近畿圏の全人口約2,000万人のうち、その7割の人口に飲料水、生活用水を提供している琵琶湖畔での土地買収工作に失敗したため、有馬温泉地域とそれに続く六甲山系の地下水及び温泉の取得を目的として活動していると思われます。」
「有馬温泉地域及び六甲山系の地下水量は琵琶湖とは全く比較にならない少量で、神戸市の他の水系と合わせても、一日の必要な水量の約4分の1に過ぎません。」
「しかし水質は良く、灘の名酒を造る「宮水」や特産の炭酸水も湧き出しています。また、近畿圏における第一の温泉地であり、要人が保養に訪れた際の万一のテロ行為の危険を予防するためにも、事業者の割出しを急いでおります。」
伊勢信一郎は多国籍犯罪企業の日本法人による土地買収を阻止する具体的手段を説明し始めます。
解説
地籍調査
国土調査法(昭和26年6月1日、最終改正令和5年4月4日施行)第1条では、
「この法律は、国土の開発及び保全並びにその利用の高度化に資するとともに、あわせて地籍の明確化を図るため、国土の実態を科学的且つ総合的に調査することを目的とする。」とその目的を定めています。
そして、地籍調査とは、
「毎筆の土地について、その所有者、地番及び地目の調査並びに境界及び地積に関する測量を行い、その結果を地図及び簿冊に作成することをいう。」(第2条第5項)と定義されています。
具体的には、主に市町村が主体となり、一筆ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量しています。しかし、その進捗率は、昭和26年の調査開始から令和5年度末時点までの72年間で、国土の53%しか進んでいないのです。特に都市部(人口集中部)と山村部(林地)において進んでいません。
地積調査がされなくとも、法務局に備え付けられている土地の登記簿に地積(土地の面積)や地目(宅地、農地などの利用形態)、所有者が記録されていますので問題ないように思われますが、実際の地積は登記簿上より大きい面積であったり、地目は宅地ですが実際は道路敷地になっていたりと、正確ではないのです。
面積が異なれば、固定資産税等の正確な徴税ができませんし、所有者が死亡しても相続登記がされないままでしたら、現実の所有者が不明となって徴税できなくなります。
都道府県での地積調査の進捗状況(令和5年度末現在)はこの通りです。

地籍調査が最も進んでいるのは佐賀県(99%)、遅れているのは京都府(8%)です。
参照:「地籍調査Webサイト」国土交通省
所有者不明土地問題
平成29年度地籍調査の結果によると不動産登記簿上で所有者の所在が確認できない土地の割合は約22%になっています。政府はこの問題に対してこのような工程で対処しようとしています。

一刻も早い処置を望みます。
参照:「所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議(第13回)議事次第(令和6年6月10日開催)」内閣官房
水資源
長期的な水資源の開発、保全及び利用に関する基本的方向を明らかにし、長期的な水需給の見通しを示すために、国土交通省では、「全国総合水資源計画」を策定してきました。
また、水資源開発促進法において、国土交通大臣が産業の発展や都市人口の増加に伴い広域的な用水対策を実施する必要のある水系を「水資源開発水系」として指定しています。
国土交通大臣の定める「水資源開発水系」は、利根川水系、荒川水系、豊川水系、木曽川水系、淀川水系、吉野川水系、筑後川水系の7つの水系があります。その水系ごとに、「水資源開発基本計画」が決定されています。但し、利根川水系と荒川水系はまとめて一つの開発基本計画としています。
この水資源開発水系は、産業の発展や都市人口の増加に伴い広域的な用水対策を実施する必要がある水系を定めたものですが、用水の供給を受ける地域(フルプラン地域)は、国土の約17%の面積に過ぎません。しかし、この地域に人口や産業活動の約5割が集中しているのです。
令和5年10月に「リスク管理型の水資源政策の深化・加速について」提言が国土審議会よりなされました。これは総合的な水のマネジメントへの政策展開を目指すものです。
このように、国の水資源対策は、安定供給に主眼を置いた計画であり、外国資本による水源地の買収対策は、各自治体の水源保護条例・要綱等に任されている状態なのです。
参照:「リスク管理型の水資源政策の深化・加速化について」提言 国土交通省サイト(国土審議会)








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